菓子工房 アントレ (約960m)
船橋駅と西船橋駅の間に位置する海神駅。ターミナル駅に挟まれたのどかな駅のすぐそばに、およそ35年間もの間愛され続けているケーキ店がある。オフホワイトとシャンパンゴールドのストライプの外観がシックな「菓子工房 アントレ」だ。

「アントレ」とは、フランス語で「いらっしゃい」「お入りなさい」などの意味だと記憶している。その名のとおり、この「アントレ」にはお菓子を買い求めにやってくる人が引きも切らない。生ケーキなどは、開店して1時間もたたないうちに売り切れるものもある。食べたいもの・気に入ったものがあるときには、早いうちに来店するか予約をしておかないと、口に入る保証はない。
大げさに聞こえるかもしれないが、本当なのだ。その証拠に、混雑してくると、店から客へ整理券が配られる。ゆっくりお菓子を選べるよう、商品を渡す順番が前後しないよう、公平を期するための店側の配慮だ。時には店の外に順番待ちをする人々であふれ返ることもある。のんびりとした周辺の風景からは信じがたい、大賑わいの光景だ。
最寄り駅からは近いものの、船橋市の中心地からは離れているのに、この盛況ぶり。この求心力の核は、やはり「おいしい」ということ以外に他ならない。
そのおいしさの秘密の1つは、まず「素材の良さ」にある。たとえば、店の人気ナンバーワンの「高木チーズ」。この、シェフの名をそのまま取ったミニサイズのチーズケーキをとっても、素材選びにはとことんこだわっている。
地元の養鶏場の産み立て卵と、牧場から届く新鮮な牛乳。主役となるチーズは本場・フランス産のもので、通常の倍以上使っているため、フワッとした口あたりから、驚くようなコクが広がる。
以前から1日1,000個は売れる人気商品だったが、有名な情報番組「アド街ック天国」で紹介されてさらに火がつき、ますます評判となった。売り切れてしまうことが多々あるので、どうしても食べたいときには予約が確実だ。

同じく高木パティシェから名をとった「高木シュー」も定番の一品。地元・船橋の素材に希少なメキシコ産バニラビーンズを入れたクリームの味わいは「とても濃厚」と評判。手ごろな価格も手伝って、こちらも売り切れ必至の人気商品となっている。ほか、シンプルながらもこだわりが感じられる「高木ロール」も、ふんわりとした口当たりにファンが多い。

アントレが生み出す菓子のおいしさは、地元・船橋海神を飛び越え、世界も認めている。たとえば「プラムショコラ」。“ナッツとプルーン、生チョコにダークチョコのハーモニーが溶け合う、トリュフのようなオリジナルショコラは、“食のオリンピック”の異名を持つ食品品評会「モンドセレクション」で最高金賞を受賞している。ちなみに、サクサク感としっとり感の絶妙な食感が楽しいマカロンも、3年連続でモンドセレクション最高金賞を受けている。

世界に通用するアントレの味だが、あくまで地元に根付いた菓子づくりをしていること、これも変わらぬ支持を得ている秘密だろう。
商品には、船橋およびその周辺の地名などが採られているものも多い。マドレーヌの中に栗とキンカンがまるごと1個ゴロリと入った「船橋の里」、甘い桃をたっぷり使った「天沼公園の桃ちゃん」、船橋市の花・サザンカに由来した、卵を使っていない「さざんかサブレ」。地元への愛着がひしひしと感じられるネーミングだ。焦がしバターがしっとり感を醸し出しているアーモンド風味の「海神スティックケーキ」は、気軽に食べられるのが嬉しい棒状の焼き菓子。6つの味があり、ちょっとしたプレゼントにも最適だ。

生ケーキも負けてはいない。こちらは「海神山」。抹茶のロールケーキに栗のペーストや甘露煮、きんとんが載った、和の素材をこらしたケーキだ。ボリュームはたっぷりだが、甘さはあっさり。男性や高齢者にも勧められる、落ち着いた味わいだ。

不動の定番といえば「柔らか苺のショートケーキ」は、スプーンですくって食べるタイプの、ごくソフトなアントルメだ。酒類などを使っていないので、子どもも安心して食べられるのが嬉しい。「びっくりイチゴ」は、同じく子どもに人気の一品。和菓子の素材として知られる牛肥(ぎゅうひ)の中には、驚くほどのいろいろな味が隠れており、ちびっ子たちを喜ばせている。


常連が注目しているのは、季節の恵みを生かしたスペシャルケーキだ。たとえば夏には、中国の幻の桃といわれる「蟠桃」を使ったお菓子が期間限定で登場する。日本では、このアントレの自家農園が栽培に初成功したそうだ。

完全予約制の「蟠桃のブラマンジェ」は、種から採れる核で風味付けするため、この貴重な桃を約10個も使うという。1名1回限定・3個までという限定つきの贅沢極まりないブラマンジェには、当然ながら予約が殺到。あっという間に完売御礼となる。
「究極蟠桃生パイ」は同じく蟠桃を使ったケーキだが、予約せずとも購入できるのがありがたい。こちらも夏だけの期間限定販売であり、たいてい売り切れてしまう。逃さず味わいたいなら、開店直後がおすすめだ。

なぜアントレがいつも混雑しているかは、食べてみれば一目瞭然、いや、“一口瞭然”だ。日本で屈指と言って差し支えないこのおいしさの上、素材を大切にし、地元を愛する心。
こうしたあたりも、ファンを惹きつけて離さない要因といえるだろう。

菓子工房 アントレ
所在地:千葉県船橋市海神6-8-2
電話番号:047-434-8353
営業時間:10:00~20:00
休業日:火曜、第2・3水曜休
メニュー例:
高木チーズ(1個)…105円
高木シュー(1個)…147円
海神山…378円
柔らか苺のショートケーキ…357円
究極蟠桃生パイ…700円
http://www.cakechef.info/shop/entree/index.html
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