成瀬周辺の歴史散歩

歴史散歩

成瀬周辺を歩いていると、古い街道沿いのみならず、最近できた団地の中にも道祖神やお地蔵さまの祠を良く見かける。この成瀬周辺は、正直あまり歴史のある土地とは思っていなかったので、気になって調べてみると、この辺りはさまざまな時代の遺跡が残り、古代より人々が豊かな生活を営んできた土地であることに気づいた。そこで、とある休日に成瀬周辺のそれらの遺跡を巡る散策にでてみた。

今回の散策は成瀬駅からスタート。成瀬台方面にしばらく歩いていると恩田川に架かる「会下山橋」がある。この下を流れる恩田川は両岸ともコンクリートの護岸で整備されていてあまり趣のある川とはいえないが、その護岸は桜並木となっていて、桜の季節になると流域は桜色の帯となり多くの住民を楽しませてくれる。その季節、「会下山橋」はその並木をながめる絶景スポットとなる。

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その「会下山橋」を渡らずに左に折れると突き当たりに「城山公園」がある。中は特に珍しさも感じられない児童公園であるが、ここはその名が示すとおり、成瀬城(鳴瀬城)の城跡だという。成瀬城については詳細な文献や史料がないため、歴史や築城した人などは不明であるが、町田市教育委員会の調査では戦国時代の城郭とされている。現在は小さな碑がその存在を主張するのみだ。ちなみに成瀬の地名は平安末期から鎌倉初期、武蔵七党の一つ横山党の鳴瀬四郎太郎がこの地を所領したからともいわれ、成瀬城はそのころは鳴瀬氏の居館であったという説もある。

成瀬城址

公園から少し会下山橋の方へ戻ると、恩田川へ降りる階段がある。恩田川に沿ってサイクリング道路が整備されているので、そこを西に向かって歩く。先ほど紹介した桜並木が続くが、夏にはその青々とした葉が日よけとなって心地よい。しばらく歩くと高瀬橋で成瀬街道と交差する。

高瀬橋からはその成瀬街道に沿って町田駅方面に数百メートル進むと右手に「高ヶ坂石器時代遺跡」の入り口に石柱が立っている。

高ヶ坂石器時代遺跡2

高ヶ坂石器時代遺跡」は大正13年に発見、大正15年に国の史跡に指定された、約4000年ほどまえの縄文時代中期の終わり頃の竪穴式敷石住居跡。屋根に覆われて保存されていて、自由に見学できる。

高ヶ坂石器時代遺跡3

高ヶ坂石器時代遺跡1

高瀬橋まで戻り、恩田川を上流に少しだけ進んだところに旧高瀬橋がある。この橋を渡って細い坂道を上っていくと鞍掛台という団地があり、その一角に「鞍掛の松公園」がある。

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現在の群馬県太田市、新田荘の御家人新田義貞が鎌倉幕府を滅ぼした、1333年の鎌倉攻めの際に松の木に鞍を掛けて休んだという言い伝えが残っており、この辺りの地名「鞍掛」の由来にもなっているが、現在はその松は残っていない。

この公園の前の細い道は鎌倉街道上ノ道(鎌倉古道)だという。鎌倉街道とは、鎌倉時代に鎌倉と地方を結ぶ、御家人が「いざ鎌倉」の折にも利用したという、当時の主要な道。ということは、「いざ鎌倉」の道は「鎌倉攻め」の道でもあったということになる。

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その鎌倉古道をさらに北上すると「かしの木山自然公園」がある。この公園の中には鎌倉古道が当時の雰囲気を思わせる自然の中で残っている。

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ちなみに鎌倉古道は町田市山崎町の「七国山」周辺でも自然の中に残っているので、機会があったら訪れてみるのもよいだろう。

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かしの木山自然公園を抜けると2車線の道に出る、東の方向へ坂を下ると「成瀬台入口」交差点。この交差点のすぐそばに「観性寺」という寺院がある。

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観性寺」は創建は1658年の開基で本尊は如意輪観世音菩薩。昭和61年に周辺の宅地造成に伴い鉄筋コンクリートの本堂を再建している。

観性寺を出て三又川に沿って成瀬駅方面に向かうと「成瀬センター前」交差点で再び成瀬街道にでる。この交差点の向かいには「オーディオテクニカ」の工場が見える。

「オーディオテクニカ」はマイクロフォン・ヘッドフォンを製造する国内有数の、世界的に誇れる技術をもつメーカーだ。最近では「ノイズキャンセリングヘッドホン」の開発で話題となった。その本社もすぐそばの成瀬街道沿いにあり、本社内には「テクニカギャラリー」という一般公開の施設(毎月第4金曜日公開、入場料500円)。フォノギャラリーでは蓄音機コレクションを公開、アートスペース・アインではオーディオテクニカにゆかりの深いアーティストの作品を展示している。

「成瀬センター前」交差点から成瀬街道を東へ進むと「東雲寺入口」という交差点がある。左に曲がると「成瀬杉山神社」と「東雲寺」の入口が隣接して立っている。寺院のすぐ隣に神社がある場合、神仏習合されていた寺社が、明治時代の神仏分離によって分けられたというケースが一般には多いが、ここでは少し事情が違うようだ。

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成瀬杉山神社」の創建年代は不明で、以前は成瀬高校のあたりにあったが、1982年、都市計画道と都営住宅建設により現在の東雲寺前に移転したという。

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東雲寺」は戦国時代の16世紀前半、北条氏の成瀬城外護のため、そばに龍谷山成就院として建立されたが、成瀬城の廃城とともに衰退した。江戸時代の元和6年(1620)に現在地に再興、龍谷山東雲寺となったという。現在は曹洞宗のお寺。境内には古い石仏がたくさんあり、このお寺の歴史を感じさせる。

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東雲寺の釈迦堂に安置される誕生釈迦仏立像は関東地方では最古の白鳳時代のもといわれ、町田市の文化財としても指定されている。

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釈迦堂の前に立つとライトアップされたのにはちょっと驚いたが、その美しい仏像を間近でしっかりと拝めるのはお寺の方のありがたい配慮だと感じた。

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今回の散策はここまで。成瀬周辺のさまざまな時代の史跡を訪ね、古くからの歴史を感じることができた。今の私たちもこれらの歴史の上に新たな歴史を築いているのだということ忘れないようにしたいと考えながら家路についた。

今回の主なポイントの地図はこちら